診療時間 午前9:30~13:00/午後15:00~18:00
休診日 木曜日・日曜日・祝日・土曜日午後

お問い合わせ

予約専門:0120-855-191 受付予約:072-624-0678

緑内障の検査

病気の早期発見のために検査が必要です。緑内障の診断には3つの検査があります

隅角検査

隅角部とは、角膜(くろめ)と強膜(しろめ)のちょうど境目の所で、虹彩(ひとみ)の付け根と交わるところを指しています。
虹彩の裏側には毛様体と呼ばれる所があり、ここで房水という水が1日約0.1cc作られます。
房水の役割は、角膜、水晶体という透明な組織に酸素と栄養を送り、老廃物を受け取ることです。
老廃物を受け取った房水は、隅角部を通って線維柱帯と呼ばれるところに入り静脈へ排出されます。
房水と涙は全く別の物でこれらの交通はありません。
隅角部が広く開いていれば、開放隅角と言われ房水は排出されやすく、隅角部が狭く閉じていれば、その程度により狭隅角あるいは閉塞隅角と言われ房水は排出されにくくなります。
隅角検査はこの隅角部の広さを観察し調べる検査です。
検査用コンタクトレンズを使ったり前眼部形状解析装置を使うことがあります。

前房・済角の構造

ファン・へリック法

緑内障の診断において、細灯顕微鏡検査での前房深度のスクリーニングは簡便かつ有用です。
ファン・へリック法は、細隙顕微鏡のスリット光束と観察者との角度を60°として、角膜厚と前房深度をGradeに従って比較することにより、隅角の広さを推定する方法です。

角膜厚と前房深度のGrede

眼底検査

視神経乳頭とは?視神経が眼球に入り込んできている所を眼球の内側から見ると、おなかのおへそのようになっていること。

緑内障になったとき、網膜神経線維欠損に続いて視神経乳頭に変化が起きます。
視神経乳頭は通常淡いピンク色をしていますが、中央部は凹んで白くなっており、乳頭陥凹と言います。
乳頭陥凹が広がっていたり、乳頭陥凹の右眼と左眼の差が大きい場合、陥凹の大きい方の眼が緑内障になっている疑いがあります。また、視神経乳頭に出血がある場合もかなり緑内障に特異的です。
緑内障が進行してくると乳頭部から出てくる網膜神経線維が潰されて黒っぽい色調になってきます。
ただし、視神経乳頭は個人差が大きく、また強度近視の人は視神経乳頭が眼軸長の伸展による変形があるため緑内障による視神経乳頭の変化との判別がしにくくなります。

緑内障の特徴的所見は、乳頭陥凹の外縁と乳頭外縁の部分、リムのノッチング(局在性の菲薄化)が見られます。乳頭縁で血管が銃剣状に屈曲して見える。(bayoneting)乳頭周囲網脈絡膜委縮(PPA)が高頻度に見られます。網膜視神経線維層欠損は最も早期に生じる変化です。

イドラインの基準では視神経乳頭陥凹の最大直径と最大垂直視神経乳頭との比を垂直C/Dとし0.7以上、R/D比0.1以下、C/D左右差0.2以上、NFLDに相当する視野異常ある場合、垂直C/D比0.9以上、R/D比0.05以下、C/D比左右差0.3以上。

視野検査

視野とは、その眼の見ることが出来る拡がりとその感度をいい、視野検査でこれを測定します。
視野検査では中央のある一点を見つめてもらいながら、周辺から出る光や点滅する光に気がついたらボタンを押してもらいます。
検査は片目ずつ行います。緑内障で視神経が侵されると視野狭窄(見える範囲が狭くなる)や暗点(見えない点)ができます。
見えないところが出来ていても、人は両眼で物を見ているので自覚するのが遅れてしまいます。

緑内障にみられる視野異常の例

視野検査を行う視野計の種類

  • 動的視野計測ゴールドマン
    動的視野計測はゴールドマン視野計が世界標準の視野計です。
    動的視野計測は視野全体を把握する上で優れ、また手動により被検者に合わせて検査を進められるため小児や高齢者でも検査が可能です。
  • 静的視野計ハンフリー
    静的視野計はハンフリー視野計とオクトパス視野計が代表的です。
    静的視野計は中心部30度の視野を精密に評価する上で優れ検査結果が数値で示されるため結果の評価を客観的に行うことが可能です。

簡便な視野の自己検査法は、片眼を手で隠しもう一方の手を上下左右の端からゆっくりと中央まで動かしていきます。
通常、視野は上方60度、下方70度、内方60度、外方100度の広さがあります。
もしも手がなかなか見えなかったり、一度見えた手が途中で消える時は視野に異常がある可能性があります。

Humphrey視野における視野異常の判定基準(Anderson-Patellaの基準)は
・パターン偏差確率プロットで最周辺部の検査点を除いてp<5%の点が3つ以上隣接して存在しかつそのうち1点がp<1%
・パターン標準偏差または修正パターン標準偏差がp<5%
・緑内障半視野テスト(Glaucoma Hemifield Test)が正常範囲外

眼圧測定

眼圧とは眼球というボールのかたさの程度をあらわす指標で、眼圧が高いと眼が硬くなっており、逆に低いと眼は柔らかくなっています。
眼の中ではひとみ(茶目)の裏側にある毛様体というところで房水という特殊な水が産生され、水晶体や角膜に栄養を送る役割を担っています。
そして、これらから老廃物を受け取った房水は隅角というひとみの周辺部を通って静脈に注がれます。
この房水が過剰に作られたり房水の出口である隅角部が狭くなると、眼の中に房水が溜まりすぎてしまうため眼がかたくなってしまいます。
これが高眼圧といわれる状態です。高眼圧になるとその内圧によって乳頭部と呼ばれる視神経が眼球内に入り込むところで視神経が押し潰されてしまうために視野が狭くなり視力が低下すると考えられています。
正常眼圧の平均値(±標準偏差)は、15.5±2.6mmHgで日内変動、季節変動、体位変動があります。
角膜が標準より厚い人では眼圧測定値が実際よりも高くなります。眼圧が高い時は角膜の厚みの測定も必要です。

眼圧別視野異常率(対象:12,952眼)

眼圧に影響する諸因子

眼圧は常に一定の値ではなく、種々の要因で変動します。

日内変動 眼圧には1日を1周期とするバイオリズムがあり、時間とともに変動します。
日内変動幅は薬3~6mmHgとされています。
季節 一般に夏季に低く、冬季に高めとなり、その差は1~5mmHgです。
年齢 緑内障疫学共同調査の結果より、日本人では加齢により低くなります。
飲水 多量の水(500mL以上)を短時間に摂取すると高くなります。
体位 座位に比べ仰臥位では1~2mmHg高くなります。
運動 短時間の運動により約10~20分くらい一過性に低くなります。
屈折 眼圧と眼軸長の間には有意な相関がみられ、眼軸長の長い眼(近視)では高い傾向にあります。
薬物 ステロイド薬の外用、内服により高くなる事があります。若年者ではより早く、またより強く反応する傾向が知られています。
飲酒 アルコールにより低くなるとの報告があります。ただし、過度の飲酒は水分摂取過多や自律神経に対する影響などから、高くなる可能性があります。
その他 喫煙により一過性に高くなります。カフェインの多量摂取によっても高くなります。